日光サーキットでコース内を走行していた車から外れたタイヤの直撃を受けた女性スタッフが、
残念ながら亡くなった。
サーキットではフェンスの内側で就労している限り、死と隣り合わせ。

コースオフィシャルとして働いていた彼女、背中にタイヤが直撃したらしいが、
脊髄パッドは着けていたんだろうか・・・・


サーキットは決して安全な場所ではない。
走行中命を落とそうとも相手を訴えないと一筆書く世界。
娑婆の常識が通用しない所。


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ウチのBENENDA号が今年の春に完成し、一応それなりに走れる様になった。
カムチェーンのピッチが国産車より粗いのでチェーンノイズが大きめだったり、クラッチのタッチが機関温度に敏感で、クラッチの遊びが変化したりという癖もあるが、この辺はまぁまぁ許せるかなと。

しかしギヤチェンジが異常に硬く、素早いギヤチェンジが事実上出来ない事に関しては閉口もん。
始めはクラッチの切れの悪さやシフトリンケージが原因と思い、それなりに整備し直いたところ、ほんの僅かではあるがギヤチェンジ操作は軽くなった。
しかし基本的に硬いという症状は変わらず、キビキビとした運転はできないまま。

親戚筋のCB500FやCB550F、果てはルーツであるCB350に至るまでクラッチ~ミッションを調べてみたが、そこはホンダだから、頑固なまでのギヤチェンジの硬さが起る事象を探し出す事は出来なかった。

参考資料として購入した 『 The Motorcycle Classics vol.003 』 に500quattroミッションの硬さに関する記述があるのを思い出し、読んでみた所、2度にわたり改良を受けている事が分かった。

netでパーツリストを漁ってみると・・・・


ちなみにほとんどのバイクに用いられている常時噛み合い式ミッションは隣のギヤ同士がドグにより嵌合連動する事により、トルク伝達をしている。

隣同士で嵌り合うギヤの一方はシャフトのスプラインに嵌合しており、他方はシャフトに対してフリー。
フリーのギヤは他方のギヤと連結して初めてトルクを伝達する事が出来る。




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500quattro初期型ドラムブレーキ仕様のミッション。
実物でなく挿絵ではあるが、ここでギヤチェンジが硬い謎が氷解した。

ドグの数が3個なのは良いとして、嵌る相手ギヤの穴が3個であり、その穴がほぼドグの形になっている。
これでは嵌め合いをする時に穴の無い所にドグがぶち当たるばかりで、シフトフォークがスラスト方向にいくら押そうとも遅々として嵌らないわけだ。

単純計算で静的には互いのギヤの位相が120度弱ずれないと嵌らぬ事になる。


ちなみにCB500Fは3個のドグが6個の穴に嵌るが、穴の幅はドグの倍ほどもあり、すっぽりと嵌り込む確率は圧倒的に高く、これがギヤチェンジが軽くなる理由というわけだ。







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CB500Fの画像が無いので、pekeさんの所から拝借したCB400Fミッション画像。
ドグの数は3個で、穴の数は6個あり、やはり穴の幅は広く、嵌る確率の高い構造になっている。
ドグの数が3個と少ないのはコストダウンのせいだろう。
6個のドグが6個の穴に嵌れば、嵌る確率は同じで耐久性は大幅に向上するが、それぞれのドグが正確に穴の壁面を押す精度を維持するにはそれなりのコストがかかる故。

さらにCB400Fのシフトタッチがコッキン!と2段階でチェンジされるのはヨンフォアオーナーなら周知の癖なんだが、これはギヤチェンジでドグが穴と穴の間にぶち当たった後、穴に嵌り込むための症状。

ミッションは材質と加工技術の向上によりドグはより細く、穴はより幅広くする事が可能になり、現代の洗練されたシフトタッチになって来たんだね。






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500quattroがディスクブレーキ装備になった時に変更された、ミッション。
ドグの数は6個に増やされ、摩耗や折損に対する耐久性向上が図られているのが分かる。
しかしドグの嵌る穴の幅は相変わらず狭く、スポンと嵌る確率は多少向上してはいるが、依然カッタルイ。

隣り合うギヤの位相は60度弱回れば嵌る計算で、三つ穴に比べ倍の確率で嵌る。
実際には高速回転しているので、そう単純ではないけどね。


ドグが穴に嵌る確率を上げるには穴を広げ、ドグを小さくする事。






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500LSと言われる、四気筒500の最終型はドグの数が5個に減らされた。
二度目の変更だから、現物は恐らくドグ穴の幅が拡大されていると思われる。

ちなみにこのイタリー製SOHCシリーズの最初は六気筒の750seiであり、後に900seiとなり、生産終了されている。
年代的には750seiの次に500quattroがデヴューしているが、手元の資料では750・900seiではこの5個のドグが採用されている様だ。

500quattroは超マイナー車故、ギヤチェンジの硬さのクレームをnetでも見かける事は出来ない。
対して750・900seiはギヤチェンジは普通にできるらしい。

ギヤチェンジの硬さを改善しようと思ったら、後期型の5ドグのミッションassyへのコンバートが必要になるなぁ・・・・

メインシャフトの互換(1速ギヤ歯数・モジュール)が利けば、CB500Fのミッションが最良か・・・・

いま少しの調査が要るねぇ・・・・