昨年12月13日に我が家やって来たヒラテテナガエビ、宅急便で届いた時には手足が欠損した個体も多かった。
まぁ華奢な蝦だからこれは仕方が無いところなんだな。

で、届いた蝦の中に、丁度脱皮しているヤツが一匹いた。
見れば脱皮に失敗した様で、小さな両手(大きな第二歩脚ではなく第一歩脚)を除く全ての脚が古い殻から抜けきれずにいる。
その他の蝦達は水槽へ放ち、脱皮不良の蝦は洗面器に入れ、一昼夜様子を見る事に。

次の日になっても脚は古い殻を着けたままで、抜けきっていない。
洗面器の中で横たわった蝦はもう息絶えているのかと思いきや、生きていた。 
身体はまだハーフソフトシェル状態。
なんなら輸送中に齧られたんだろう、頭の先のツノや触角も欠損し、生きている事が不思議なぐらいの痛々しい姿・・・・
仕方なくもう一晩様子を見る事に。

翌日観察すると、身体の方は固まってきていたので、このままでは変形硬化は免れず、ヘタをすると命も危ないと思われたので、思い切って抜けかかって脚にくっついている古い殻を引っ張ると、生身の脚が全て抜けてしまった。

いやはや、悪い事をしてしまった。

この個体をダメ元で水槽内の隔離BOXに放った。
それ以来、この両手のみで脚の無い蝦は懸命に生き伸びた・・・・

そんな五体不満足な蝦なんだが、たまに隔離BOXから脱走し、広い水槽内に泳ぎ出て、僕を慌てさせたんだな。
なぜって、五体不満足な手長蝦はこれまでの経験上、悲しいかな共食いでやられてしまうのが常・・・・
しかし幸運な事に彼は共食いされる事無く生き延びた。

幾度かのBOXからの脱走と保護を繰り返し、3週間ほど過ぎたある日、いつもの様に隔離BOXから脱走しているのを確認したんだが、生憎その時は水槽内に彼の姿を見つける事は出来なかった。
あぁ、遂に食べられてしまったのかと・・・・

注) 銀玉ピストルさんの観察によれば、ヒラテテナガエビは釣り場でバケツから脱走する程、良くよじ登る(らしいよ)
   ちなみに普通種の手長蝦はまずバケツの縁をよじ登る事は無い。

ところが翌日水槽を見て驚いた。
なんと隔離BOXの中に、彼が戻ってきているではないか!
昨日は確かにもぬけの殻だった筈・・・・
奇跡の様な、そして何ともいじらしい出来事に、嬉しくなったねぇ。

そして迎えた1月5日。
なんと彼は隔離BOXの中で脱皮を迎えていた!

実はこの前日ぐらいから脱皮フィーバーが始まっており、水槽内の蝦達が連続して脱皮をし始めたんだな。
それにしてもウチへ来た日に脱皮した彼が、他の大勢の蝦達に先んじて脱皮する事は脅威と言う他ない。
最も最近脱皮した彼が、順番を飛び超して脱皮出来るもんなんだねぇ。

但し、急いで脱皮した故なんだろう、新しい脚は皆貧弱で、見るからに弱々しい。
しかしあれだ、瀕死の重傷を負いながら、したたかに生き延びた彼なので、ド根性手長蝦として、これまで以上に依怙贔屓して行こう。





1分45秒ぐらいから登場するのがド根性手長蝦です。